研究内容

スマートフォンは、検出器として優れているだけでなく、通信機能が備わっているので、現場や在宅と検査会社、病院などをつなぐことで、ネットワーク診断というイノベーションに結びつくと考えられます。例えば、アスベストなどはスマートフォンで可視化しただけでは、アスベストかどうかの判定は熟練者でなければ難しいと言われています(アスペクトなどの形状で判定されるため)。しかし、通信機能を利用して熟練者とつなぐことで、熟練者が現場に居なくとも判定ができます。また、GPSデータとの融合で、病原体の拡大地図ができるなど、政府の予防対策や治療費削減に貢献できると考えられます。また、在宅での適切な処方が可能になれば、社会保障費の削減効果は測りきれないでしょう。本拠点では、最先端のバイオセンシング技術をスマートフォンに搭載することで一般社会に普及させ、イノベーションにつなげたいと考えています。

スマートバイオセンシング(安全安心社会)

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ノロウイルス属による集団感染は我が国各地の学校や養護施設などで散発的に発生し、大きな社会問題を引き起こしています。また、新型インフルエンザは一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えると考えられています。インフルエンザでは感染後48時間以内にウイルスを検出し、適切な処置をすることが重要であるとされています。その他大気のアスベスト、PM2.5、様々なナノマテリアルの検出、食品中の農薬の検出など、我々の身の回りの有害・危険物質を検出し、迅速に発生情報等の情報を集約して対策をとることが、我が国の安全安心社会実現のための喫緊の課題です。
広島大学では、これまで、様々な有害・危険物質に結合する人工タンパク質の開発に成功してきました。これらを蛍光で修飾することで、数十ナノメートルサイズのアスベストやインフルエンザウイルス等が数百倍程度の倍率で特異的に蛍光可視化する技術(蛍光バイオセンシング:光の分解能よりも小さい対象物でも、蛍光で光らせて観察することによりその存在が分かる)を開発してきました。スマートフォンに接続できる蛍光検出器を作製して様々な有害・危険物質を検出する研究を行っています。

 

スマートバイオセンシング(健康長寿社会)

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医療費の増大による医療保険制度の財政基盤の弱体化が指摘されています。高齢化による介護ニーズの増大に対しては、居住系・在宅サービスの充実強化により重点的に対応を図ることとなっています。在宅での生体情報(心電図、脳波、体温など)の検出と適切な処方が遠隔で行える様にするために、生体情報を検出し、かつ通信可能なバイオセンサーの開発が必要です。
広島大学では、フレキシブルなプラスチック上にシリコン単結晶を形成することに成功することで生体バイオセンシングへの応用の目処が立ってきています。温度センサーや心電図センサーの回路、通信アンテナ、電源用のパワーコイルを組み込んだチップを作製し、肌に密着させることでスマートフォンを介して生体情報(心電図、脳波、体温など)を検出したいと考えています。

誰もが健やかで快適な生活を実現するためのスマートバイオセンシング融合研究拠点を形成し、革新的な融合研究を通して我が国の安全安心、健康長寿社会を目指します。