研究拠点のミッション
我々の身の回りの環境や自身の生体情報を感知するためには、持ち運び可能で、さらにはウェアラブル(身につけることが可能)なバイオセンサーが必要になってきています。今やスマートフォンを含む小型通信機器は世界で65億台にも及び、持ち運び可能なバイオセンサーのインフラとして最もポテンシャルを持つと言えます。スマートフォンをプラットホームとするバイオセンサーを開発するには、バイオ、ナノ構造光デバイス、フレキシブルエレクトロニクスが融合したスマートバイオセンシング技術の開発を加速する必要があります。本拠点は、融合研究推進をミッションとする特色ある大学院先端物質科学研究科とナノデバイス・バイオ融合科学研究所が有する最先端LSI製造技術、スーパークリーンルームといった広島大学の独自の強みと連携することで、広島大学でしか実施できない独自技術に基づいた特色ある研究拠点の形成を行い、安全安心・健康長寿社会の構築に貢献することをミッションとしています。
これまでの実績
- 有機タンパク質と無機シリコン系材料の界面制御技術として、世界に先駆けてシリコン結合タンパク質を取得。シリコンナノデバイスと融合させることにより、微量の抗原を検出する半導体バイオセンサーの開発に成功(H18〜H20年度科学技術振興調整費、先端融合領域イノベーション創出拠点の形成)。
- アスベストに結合する独創的な人工タンパク質プローブを開発し、光学技術と融合することで、アスベストの蛍光可視化などに成功(H24年度文部科学大臣表彰科学技術賞)。
- プラスチック基板上で単結晶シリコントランジスタの動作に成功し、生体情報を取得するためのフレキシブルエレクトロニクスを開発(電子移動度609cm2V-1s-1、世界で唯一広島大学のみが有する技術、H23-25最先端・次世代研究開発支援NEXTプログラム)。
- ナノ構造光デバイス技術により世界最小の八木アンテナの開発に成功(Nature photonics、H22年)。
計画・方法・運営体制
革新的なバイオ融合技術が、さらにナノ構造光デバイス技術、フレキシブルエレクトロニクス技術と融合し、スマートフォンに搭載可能なバイオセンサーを開発する研究拠点(スマートバイオセンシング融合研究拠点)を形成します。さらに、広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所(文部科学省ナノテクプラットフォーム)の微細加工技術を利用して、ものつくりレベルで結集させます。
研究拠点リーダーとして大学院先端物質科学研究科分子生命機能科学専攻 黒田章夫教授(Distinguished Professor、バイオ)、コアメンバーとして同大学院量子物質科学専攻 角屋豊教授(光デバイス)、半導体集積科学専攻 東清一郎教授(フレキシブルエレクトロニクス)があたります。
研究拠点の将来性
本事業は広島大学が実績を有するバイオセンシング技術、ナノ構造光デバイス技術、半導体研究分野を核とし、環境、医療分野の問題解決への大きな波及効果を狙うとともに、複数の学問体系が理解できる融合分野の人材育成を行います。スマートバイオセンシング融合研究拠点では、生命科学、物質科学、情報科学ナノエレクトロニクスの全学規模での融合の取り組みを行うインキュベーターとなり、継続的に革新技術を生み出したいと考えています。
また、実用化のための技術移転や産業界での技術開発支援を実施し、新たな融合研究、応用展開を発足させます。新たなベンチャーを創出して社会貢献したいと考えています。
協賛企業
浜松ホトニクス株式会社、株式会社オプトサイエンス、有限会社シリコンバイオ